22.それでも、僕は

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『仕方ない…これが戦争だ…。』 『泣くな!お前だけが不幸じゃないんだ!』 『何時までもメソメソしないで、早く前を向きな。』 『もうお姉さんは帰って来ません。…今は、ただ目の前の事に取り組みなさい。』 『ハウルロイドが憎い?…やめとけ、憎しみはいずれ自分に降りかかる。』 『いっつも同じ話。ハウルロイド嫌いなのはわかるけどさァ、あんまり不幸を見せ付けると避けられるよ?』 …なんで? なんで、気が済むまで泣いちゃいけないの? なんで、お姉ちゃんを奪った人達を恨んじゃ駄目なの? いつも、我慢しろ、耐えろ、堪えろ…。 ねぇ、なんで? 大切な人を奪われて…なんで声を上げたら駄目なの? みんな、私に構ってくれない…。 慰めを欲しがれば甘えるなって叱られて。 不満を打ち明けたら子供だって叱られて。 怒って罵ったら身勝手だって叱られて。 …ねぇ、なんで? 誰も、泣いている私を見てくれないの? 私はここだよ? 忘れないでよ…早くしてよ。 みんな、どんどん忘れちゃう…。
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