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縁戚を平然と切り捨てられる冷淡さにブリジットは嫌悪感を噛み締める。
「そう……で?」
「ん?」
「私に何でそれを伝えるの?」
「さぁ…何でだろうか。」
白々しい。
ブリジットはキッと睨んだ。
だがヴァンクラウンはへらりとほくそ笑む。
「ただ君の望む事が起こるのは…必然のような気がしてね。」
「あなたに私の望む事が解るの…?」
「形だけさ。真意など知る由も無い。俺はただシェリルに刮目して貰いたいだけだ。」
「私を唆す訳だ…。」
「打算と利用、これだけあれば歯車は良く回る。」
悪びれる素振りも見せず、ヴァンクラウンは間接的にブリジットを利用する事を認める。
性悪には違いないが底知れない冷徹さにブリジットは嫌悪感を益々募らせる。
「…私は何をするか判らないわよ?もう今にも…狂って壊れて…死んでしまいそうだからっ…。」
「君があるがままになろうとするのを止める権利は無い。」
ヴァンクラウンはすぐに許諾するが、ふと違和感を覚える。
(この女…自分に酔っているのか…?やたら感傷的だな…。)
「不安があれば俺の取り巻きを付けよう。まぁ君が出張れば賛同する者はいるだろうがな。」
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