22.それでも、僕は

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他方にて。 「っ!今の音はっ…!」 シェリルを探すラウルとアレンは、異質な騒音を耳にする。 嫌な予感が心臓をつつく。 殺気立っていたブリジットを先程目にしただけに、嫌な確信が色濃く浮く。 「幕は上がっちゃっていた…ってオチかな。」 「そんなのっ……!」 「だから駆けつけるんだろ?」 素早く返されてラウルは言葉に詰まってしまう。 アレンは愉快そうに舌を出して、スタスタ前を進む。 「アレンって…ホントはいい人なのかい?」 「真に善良なる人間は自らを語らず、自らを行いによって示すモノなり。」 「誰の言葉?」 「お・れ☆」 緊張感無く飄々とした台詞回しをするアレンにラウルは口を尖らせる。 「…まぁシェリルを助けたい思いは変わらないと思うよ、そこを裏切れる程ロクデナシじゃあない。」 アレンは振り返って、残り香のように笑顔を落とす。 「やっぱりこればかりは捨てられなかったさ、此処で生きる人間として、無関係でいられなかった。…面白くも無い話さ。」 「いや、そんな…。」 ラウルがフォローを入れる前に、二人は騒動の渦中の入り口に立つ。 「さぁ、ヒーローがいつもより早く現れる事に悪い事は無い、…行こっか。」
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