22.それでも、僕は

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その光景は、有無をいわさず言葉を奪う。 胸が竦み、手足は凍る。 ブリジットの召還体、ベルベットが黒い怪しげな体をくねらせ、両手に根付いた刃を、細身のシオの体の上を走らせる。 シオは覚束無い足取りでひたむきな回避を心掛けるのみで、小さな血飛沫を上げながら転げ回っていた。 「やな感じ……!」 いつも悠長な表情を絶やさないアレンが薄く青ざめている。 悪寒が肌を伝い、熱を吸い取って蒸発していくようだ。 「ブリジッ……トッ…!」 絶え絶えした声を張るシオを見たブリジットの顔が悲痛に歪む。 「もう…大丈夫っ…だからっ…!」 「なんでよっ、…なんでなのよっ!」 ブリジットの指示でベルベットが腕を振り抜く。 「なんで…いつもっ、いつもっ、いつもぉぉっ!!」 「っ!!!」 ブリジットの激情に空白は無い、滞り無く、そう驚く程滞り無くブリジットは連撃に移った。 シオの余力は乏しい。 これまでの一連の騒ぎはシオなりに考えを伴った行動だ。 だがその考えを解してもらうには余りにシオの言葉は足りず、不器用過ぎた。 そして、ブリジットが怯える程、深かった。
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