22.それでも、僕は

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鼓膜を裂くような衝突音が空気を駆ける。 反射で両目を瞑ったシオは、有り得ないタイミングで生まれた沈黙に当惑した。 「っ?!…あっ…!」 細かい光を散らしながら宙に位置する緑色のプレート。 そこから発する透き通った結界、クリアシェルがベルベットを押し止めていた。 ベルベットは一瞬怯みながらもクリアシェルを突き破ろうと試みるが叶わず、後退する。 「…っ!!!」 ブリジットが鈍く濁った瞳を素早く新たな対象に定めた。 「うっ……。」 ウィル・オブ・ウィルを展開させ、術式を仕込んだプレートを投げつけたラウルに焦点が重なった。 ラウルは引きつった顔をしている。 「あぁ…ラウル君、他愛の無い質問…いいかな?」 「…ハイ。」 「一ミリも脳みそを回さずに突っ込んじゃったね?」 「…ハイ。」 今もラウルは脳みそを一ミリも動かしていない。 この行動にはちゃんとした確信があった。それはまだ揺らいでない。 ただそれを出来た自分が、してしまった自分に驚き、混乱していた。 「らしくないねー…珍しい…。」 「うん…でも…大丈夫…!」 ようやっと、落ち着きが芽生えてきた。
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