22.それでも、僕は

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「またっ…またぁぁっ!」 一声一声が悲鳴に近しいまでに甲高い。 ブリジットは皿に水を溜めて柄杓を一回しする。 「カウントストマックッ!!」 水流がパックリと口を開き、ブリジットとシオが屹立する地点を囲おうとする。 これ以上の侵入者を排除しようという腹だろう。 事実、彼女の僅かな余裕はもう煙の如くだ。 「く……あっ!」 防御体勢を取ったラウルは唐突に突き飛ばされた。 ラウルは体勢を崩しながら、前のめりにシオとブリジットの空間に雪崩れ込む。 「っ…アレン?!」 「留まるに理あらば進むにも理あり。されど進む理、何物にも勝れり。」 尤もらしい事を述べた突き飛ばしの張本人は肩を窄めて見せた。 「…俺の即興だけどさ…ま、頑張っていきなよ。今の君が何より正しいって信じているからさ。」 アレンが言葉を重ねる毎に水の壁が厚くなり、やがて何も届かなくなった。 「アレン…!」 静かに潤んだ瞳を振り、ラウルは薄れるアレンの像を見送った。 「全て正しいと…思いたいし、信じたいじゃないか…。」 一人心地でアレンは水の壁を見やる。 辺りは再び騒然とした。デスマッチの要領で閉じこもったブリジットとシオへの危機感が募る。 生徒会を呼ぶ声が芽吹き始めたのを聴いて、アレンは俄かに歩き出す。 「リクもラウルも正しいんなら…さっさとやってしまわないと…さぁ!」 久し振りに高揚していた。
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