22.それでも、僕は

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「ちなみに何もかもが遅れた場合どうなるか知っているか?」 まだNOISE編集室にいた時分。 本を片すシオにリントが問うた。 パソコンワークを中断して欠伸をたれている。 「どの刊から?」 「んー…悪いケースを頭に入れるとかさばるからなぁ。」 独特な表現を交え、質問して来た筈のリントは何故か渋る。 「先輩?」 「…やっぱ深くは無しだな。まだ知るべき段階じゃない。」 勝手に納得した後、リントはマグカップの中が空か確認する。 「一年前に、さっきの声明書いた…エドガー・B・ボルテールな、去年の会長なんだが、そいつが中心でまたアドレフォレストを決起しようとしたんだ。表沙汰になる前に内部分裂するけどな。アレみたいになるなよ。」 「どうなる事?」 「…あーやっぱ話すんじゃなかった…老婆心…。」 妙に余所余所しくなったリントをシオは睨み付けて無言で急かす。 「アドレフォレストの失敗で…負の感情が吹き溜まりになっちまったサンドハーストを誰も掬い上げてくれなかったからな…。」 「だから…」 「慌てるなって。どうしたよ。」 「んっ…。」 指摘されてシオは言葉を止めた。
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