863人が本棚に入れています
本棚に追加
「…ん…はぁっ!」
水圧を堪え、シェリルは中の空間に入った。
「シェリル?!」
ブリジットの突然の沈黙に惑っていたラウルはシェリルの登場で更に混乱する。彼女はアレンが避難させた筈だ。
「ラウ…ル君…、…っ!」
ラウルに気まずさを感じる前にシェリルは心臓を弾かれた心地になる。
「シオ君…?!」
満身創痍で思う通りに動かない四肢で、シオは懸命に体を支えていた。
シェリルは視界がひび割れるような衝撃を受ける。
「なんてこと…!」
そっとシオの体を引き寄せ、並べた自身の太腿に頭を乗せた。
「シオ、シオ!…どうして。」
「俺はっ、大丈夫…。大丈夫、だから…!」
「どこがっ…!こんなになって大丈夫な筈が無いよ!シオっ!」
「君を守りたかった…。」
シオは血に濡れた笑みを静かに浮かべた。
「ブリジットと…君がぶつかり合ったら…傷つけ合ったら…取り返しのつかない事になる…。もう…分かり合って、笑い合う…未来を見えなくなる。それだけは…駄目だから…それだけは…嫌だから…。」
ふと、シオの視界が暗くなる。
シェリルが屈んで、シオの頭を両腕で包んだからだ。
最初のコメントを投稿しよう!