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「全く別のブリジット…?あなたはあなたじゃない…!」
「違うわ…いや…違うようになっていく…。」
柄杓が傾けられ、配置されたサーペントスライサーが動き出す。
「違うあなたになる…?」
その羅列が解する前にシェリルは回避を余儀無くされる。
一歩一歩が彼女の華奢な体を浮き上がらせる。四肢は胴体と組み合って美麗な線となり、僅かな隙間を縫う。
引き締まった両腕は空を泳ぐように広がり、両足は立体的に回る。
「私はっ、所詮、弱いからっ…!」
シェリルの滑らかな回避運動と対照的に、ブリジットの言葉は不細工な羅列だった。高ぶる呼吸が語調を乱す。
「どんなに抗っても、どんなにもがいても…大きな流れに負けてしまう!私という存在は…何も出来ずに押し流されてしまうだけっ…!」
段々と、悲痛な響きが入り混じる。
ブリジットの魂の揺れを感知したのか、サーペントスライサーの勢いが僅かに弱まった。
一瞬だけの、ブリジットを守る格子が緩んだ間はシェリルには十分過ぎた。
ブリジットとシェリルの間が瞬時に縮まり、
二人は、二間保ったまま互いを見つめ合う。
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