23.I & YOU

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「だからお姉ちゃんを死へ追いやったハウルロイドを憎んだ!その家に生まれたあなたを憎んだ!一番記憶に刻まれているべきなのにあなたは…!」 「…確かに、私は逃げていた。しかも罪の意識みたいな高尚な理由じゃなくて、怖くて逃げていただけ。自分は無関係だって云って、極力触れないように遠くまで走って、隠れて…。色んな人の想いを無視して、自分だけ無傷でいようとしていた。」 「そうよ、あなたはっ…!」 ブリジットの言葉が驚きで止まる。 柄杓が強く握り返された。ブリジットの力で震えていた柄杓が静止している。 「言い逃れみたいな意味は無いけどっ…!」 シェリルの瞳がブリジットを映す。その像を掴んで放さぬよう、しっかりと輪郭を捕まえる。 「私は…あなたのお姉さんを死なせたと認めたり、謝罪したり出来ない。あなたのお姉さんと直接的な面識は無いし…私の勝手な思い込みで認識するなんて無責任だし、同情を出すのは最低だから。」 ブリジットは唇を噛んで黙り込む。 「でもね、私は償いをしなきゃならない。他ならない、あなた自身に。お姉さんを失ったあなたと切欠を作った人の子供である私。そこにはもう繋がりがあるのに、関わりがあるのに私はそれを身勝手に断ち切ろうとした。あなたから目を反らそうとした。この罪を…私はあなたに償わなきゃならない。」 シェリルの瞳が切なく瞬く。
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