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騒々しい足音が鳴り響いた。無遠慮で整然とした音の連鎖は瞬く間に空間を埋め尽くす。この場がどんな具合の空気に満ちていようがお構い無しに、有している目的を果たす為に現れて入り込む。随分と無感情な集団だった。
状況の変化を二人も察した。
離れても両腕を繋ぎ合ったままそっと立ち上がる。
「なんだ、意外と早い閉幕だな。」
二人を一瞥して冷淡な語調で紡いだのはリカルド。
「リカルド先輩…。」
「まぁ監察員の連中を出し抜けただけでも良しとするか。」
リカルドが指を鳴らすと、後ろに列を成して控えていた執行部員が二人を取り囲む。
「さて、洗いざらい色々語ってもらおうか。もう気は静まっているんだろ?」
「…っ!」
シェリルが身構えると、ブリジットがそっと腕を解いて離れた。
「ブリジット!」
「…全部私のせいだから…。ちゃんと咎めは受けるわ。」
まだ腫れている目元で細めると、リカルドの前に立った。
「…私が全て話します。」
リカルドはジロリとシェリルを見据え、何か考えると頷いた。
「連れて行け。」
執行部員が野次馬を払いながら、ブリジットを連行して行く。
相変わらず華奢な背中だったが、背筋が通っていて潔かった。
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