24.メイビーブルー

3/28
前へ
/913ページ
次へ
「ブリジット、シェリルっ!」 リカルドの行動を察したシオが無理矢理体を起こして詰め寄ろうとする。 しかしまだ完治していない傷の痛みで足がもつれて倒れる。起き上がろうとするが脱力感を伴った痺れで体が動かない。 「シオっ!」 ラウルが引き止めて落ち着かせると、治療を再開しようとする。 「無茶したらダメだよ…!」 「そんなアメイジンググレイスじゃ非効率だ。」 リカルドが執行部員を脇へ控えさせて進み出てきた。 「ペネロペの元へ連れて行ってやれ。一応被害者だしな。」 執行部員が頷いて折り畳み式の担架を持ってくると、シオを乗せて連れて行った。 残されたラウルは戸惑った表情を浮かべている。そんなラウルにリカルドが変わらぬ淡々として口調で話しかけてきた。 「なんでまぁこんな事に…。」 「リカルドさん…。」 「普通にやり合えば苦は無かっただろうに。マゾなのか?」 「シオなりの引き留め方ですよ。ブリジットを力で否むんじゃなくて、ただ受け止める為です。」 「禍根がそれで消えたら苦労しないさ。」 シビアな物言いだが的外れでは無い。ブリジットとの間に進展はあってもシェリルに対する偏見や過去の諸々が消え去ったわけじゃない。物事の明確な終止符は有って無いようなモノだ。この結末を過信してはいけない。 シェリルを取り巻く大きな流れが止まる事が無いのと同じように、また別の形に今が進んでいく。
/913ページ

最初のコメントを投稿しよう!

863人が本棚に入れています
本棚に追加