863人が本棚に入れています
本棚に追加
「シオ!」
「シオ…!」
「シオォォォ!!」
各々のリアクションに一瞬驚きながらも、シオは動かない表情筋で精一杯の笑顔を見せた。
「おは」
「シオォォォ!心配したぜぇ?!今回俺完全なアウトサイダーでよぉ!どーにもこーにもなんなくてマジでハラハラしっぱなしでよう!!取り敢えずお目覚めおめでぅ…」
「いきなし吠えるなよ、バカ!」
マシンガンを遥かに超える火力で放たれるシャーロックの口上をリクは抑え込んだ。背後からのペネロペの視線も気にかかる。
「っふふ…。」
掠れた笑い声をシオは漏らした。頬に貼られたガーゼのせいで聊か歪な形の笑みになっている。
そこに浮かぶ痛ましさがやたらリクの胸を引っ掻いた。
「…っ、わりぃ。」
唐突にリクは立ち上がり、足早に歩み去った。
「んあ、オイ、リク!」
シャーロックが止める間も無く、リクは保健室から出て行った。
「ンだよー…腹でも壊したんか?」
「違うと思うけど…。」
シェリルはもう見えない背中を追っていた。
逞しさに鈍い疲労が混じった、貧しい背中だった。
最初のコメントを投稿しよう!