24.メイビーブルー

9/28
前へ
/913ページ
次へ
「シオ!」 「シオ…!」 「シオォォォ!!」 各々のリアクションに一瞬驚きながらも、シオは動かない表情筋で精一杯の笑顔を見せた。 「おは」 「シオォォォ!心配したぜぇ?!今回俺完全なアウトサイダーでよぉ!どーにもこーにもなんなくてマジでハラハラしっぱなしでよう!!取り敢えずお目覚めおめでぅ…」 「いきなし吠えるなよ、バカ!」 マシンガンを遥かに超える火力で放たれるシャーロックの口上をリクは抑え込んだ。背後からのペネロペの視線も気にかかる。 「っふふ…。」 掠れた笑い声をシオは漏らした。頬に貼られたガーゼのせいで聊か歪な形の笑みになっている。 そこに浮かぶ痛ましさがやたらリクの胸を引っ掻いた。 「…っ、わりぃ。」 唐突にリクは立ち上がり、足早に歩み去った。 「んあ、オイ、リク!」 シャーロックが止める間も無く、リクは保健室から出て行った。 「ンだよー…腹でも壊したんか?」 「違うと思うけど…。」 シェリルはもう見えない背中を追っていた。 逞しさに鈍い疲労が混じった、貧しい背中だった。
/913ページ

最初のコメントを投稿しよう!

863人が本棚に入れています
本棚に追加