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「あ~…くっそ…。」
居たたまれなさで勢い良く飛び出したはいいものの、一挙に手持ち無沙汰になってしまったリクは彷徨く他無かった。かといって保健室から遠く離れる事も出来ず、近場の階段に腰掛けて自省し始める。
「なぁ~にやってんのさ。」
頭が静かに回る前に、抜けた声が割り込んでくる。
「アレン…。」
「どこぞでアドレナリン出し過ぎて脳貧血かい?」
「…バカかお前。」
自分の態度がふてくされている感じがして、リクは自己嫌悪する。
「保健室が判んない?お世話になった癖に。」
「知ってるよ!…ってか、もう行った。」
勘の鋭い奴だ。
「治療だか何だかで追い払われた?」
「ちげーよ。そんな重体じゃなかったし。」
「パシリ?」
「バーカ。」
「じゃあ何なのさぁ~?」
遠回しにリクの本心を浮き彫りにしていくつもりだろうか?
アレンの意図はわからないが、リクの心は手に緩んでいく。
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