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リクは返答しない。物言わぬまま俯いている。
「リィクゥ~センチメンタルなんて似合わないよ~。」
アレンはリクの隣に降りた。加減無い力でリクの肩を叩く。
「あんだけ格好付けてさぁ!こんなブルーなオチなんて有り得ないって!純粋に喜びなって!」
「ンな資格…俺にあるかよ。」
「あるわよ?」
大人びた声音が頭上に降ってきた。聴き慣れない、艶やかで柔らかな声だった。
「「え?」」
二人が見上げると、アッシュブラウンの髪を揺らす女子生徒がいる。揮発そうな面立ちは端正であり、大きなクルクルとした瞳が印象的だ。そこに浮かぶ無数の反射が、リクとアレンの像を彩ってくれているようだった。
「フゥ~アァ~ユゥ~…?」
「金髪クンは初対面だけど、隣のキミはお久しぶりだよ?」
「えっ……とぉ…。」
リクが掻き分けた記憶の水底から思い当たる映像が見つかる。
「シノミヤ…ヲリエ…さん?」
「ザッツライト!」
満面の笑みで彼女は頷いた。どこまでもどこまでも、あどけない笑顔だ。
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