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ヲリエの持つ不思議な空気感は澱む事無く二人を包む。リクは一言一言を重ねる度に、胸から血栓が取り出されていくような感覚を持った。心が、頭がゆっくりと軽くなる。
「要はシェリルを襲わせた悪ガキを締めようとした自分とシオを比べて悶えているって訳ね。」
「ザッツライト。」
リクより先に肯ったアレンを叩いた後、リクはコクリと頷いた。
「ゼータクだよねぇ、キミ。」
「ハッ?ゼータク…」
「ゼータクっていうよりゴーツク?なんか自惚れてんのよね~。」
容赦なく心を刺されてリクは耳が赤くなるのを感じる。
「別にキミの行動は悪くないと想うよ?ちょっと単純だけどズレちゃいないし。でもキミが不満な理由はそこじゃない。キミがブリジット・ステラとシェリル・ハウルロイドの衝突の現場にいなかったからシオ・クオールがあんな事になってしまった。キミはそんな絵空事を描いて悔いている。」
「絵空事…!」
「そう、絵空事。」
リクの反論を許さないと云わんばかりに、ヲリエはリクのネクタイを掴んで見せた。
「シオがあぁなったのは自己責任よ?あんなやり方したんだもの、傷だらけになるのは仕方ない。だからといってそんな無茶をこれから先やらかされると心配するのも疲れるわ。あなたはシオのそんな所を叱らなきゃならない。心配かけんな!…って感じにさ。」
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