24.メイビーブルー

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「まぁ頑張りな!」 終始変わる事が無い溌剌とした声でヲリエは謳うと、そそくさと立ち去って行った。 「あぁ~ども~。」 にこやかに別れを告げ、アレンはヒラヒラと振っていた手を収める。 「良いこと云うよねぇ。キング牧師の如く。」 「妙な例えしやがって…。」 「あり?フォーリンラブ?」 「バーカ。」 リクは立ち上がり、階段を昇り始めた。足取りは軽快とは云い難いが、ゆっくりと確かな重みを抱いている。そんなリクの動作にアレンは軽い安堵を覚える。 と同時に、心臓を粗い手触りで撫でられているような不快な感覚に一瞬襲われる。ヲリエ相手に何を感じているんだと自省していると、途端にその感覚は全く別の、渇いた虚無感に成り変わった。 それを少しも露わにする事無く、アレンは無理矢理貼り付けた爛漫を見せ始める。 「シオはもういいのかぃ?」 「しばらく一人で考える。」 「殻に籠もるの間違いじゃないよね?」 「そうならねぇように努力する。」 相変わらずこの男は…。 アレンは何も云わず、頭を振る。自然に浮かび上がってきた笑顔で。 おそらく何度も作ってきた笑顔で。
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