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「今回の一件、私達は来週出すNOISEに載せるつもり。」
淡々とヲリエは語る。
「まだ記事におこして無いけどネタは集まっている。後はパソコンでカタカタゴシック体を打ち込む段階まで来てるんだ。此処で一つのプロセスをクリアすれば全てが恙無く終わってくれる。」
「プロセスって?」
シャーロックが何時の間に作った真剣な面持ちで問う。シオも、ヲリエに呼応するように静かに目を瞬かせる。
「あなたの許可を得る。」
「私の……?」
「そう、あなたの。」
ヲリエは椅子の上であぐらをかく。
「ホントは許可もへったくれも無いんだけどね。何にも構わず真実をしたためた記事をばらまくだけ。ただ今回ばかりは許可を貰ってみたくてあなたに会いに来たの。」
許可を貰ってみたくて会いに来た。
随分と奇妙な表現だ。シェリルは真意が読めずに戸惑う。
「で、どうなのかしら?」
シェリルの戸惑いを察したヲリエは悪戯っぽく微笑む。
「あなたは…自分の事をあっちこっちに披露されるのは、イヤ?」
口調こそは甘やかだが、尖った厳しさを内に含んでいた。
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