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一年生三人は揃って停止する。急な問い掛けに驚愕する余り心の脈が滞った後、各々の想いを募らせる。
「…ンだよ!それ!」
先に再起動したのはシャーロックだった。口調には怒りが浮いている。初対面の、年上の女に遠慮している気はあるが、素直に怒っていた。
頬は赤く火照り、目くじらは立っている。紅潮した肌の上のトライバル系の刺青がやたら鮮やかに浮き上がる。自らを主張せんばかりに。
「それって結局やってる事パパラッチと変わんねぇじゃねぇかよ!好き勝手に掻き回して楽しんでるだけのハエ野郎じゃねぇか!!」
「声を抑えてくれる?」
青筋を額にこさえているペネロペを指で指し示しながら、ヲリエはシャーロックよりもずっと小さい声で諫めた。彼女の雰囲気からは想像つかない程ドスが効いていたが、シャーロックの大声よりずっと勇ましい。
「えーっと、シャーロック君、さっき云ったけど私はパパラッチの類じゃない。だからこうやって許可貰いに来てるんでしょ?気紛れだけどさ。」
「気紛れってアンタ…!」
「動機はそんなんだけどやる時は基本マジなの、あたし。」
ドスの効いた声に腹の底を抉り取らんばかりに放たれた視線が重なる。相乗効果で強まった迫力にシャーロックは冷や汗で背中を湿らせる。
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