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「にぃ~~。」
急に張り詰めていた表情が弛んだ。途端に出会い初めのヲリエの態度に戻る。
「ゴメン、怖がらせちゃった?」
「は、ひぃ~…?」
冷や汗が乾かないまま頓狂な声を上げるシャーロック。
「たまにはドス効かすのも悪くないかなーってね!特に意味は無いから気にしないで♪」
フォローを入れられてもさっきまであった怖さがやたら脳裏に焼き付いているシャーロックはすぐに態度を改められない。愛想笑いを貼り付けたまま、強張った顔を保ち続ける。
「で、どーなのかなぁ?シェリルは、自分の事どこまで晒されても大丈夫?」
問い掛けが随分と意地悪いと感じつつも、シェリルは頭を小さく傾けて考える。その面影は暗くない。この僅かな時間に真剣に自分と向き合っている気迫がある。
「…御自由に。」
「へぇ?」
「御自由に。」
一度目よりハッキリと言葉を宙に刻む。媚びも諂いも、弱さも無い。
揺るぎない意思表示。
ヲリエは舌を巻く。
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