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ヲリエはそれ以上問わず、ジッとシェリルを見つめた。しばしの沈黙。瞳と瞳が一寸のズレ無く重なり合う。
ヲリエの眼光には力が溢れている。ちょっとやそっとじゃ押し返されそうな力強さが隠っている。だがシェリルも負けていない。
「…フッ。」
ヲリエは満足そうに笑みを零す。
「にゃ~ゴメンね!ちょっと意地悪だった♪」
打って変わって爛漫に、ヲリエはシェリルに抱き付いた。勢いづいた抱擁にシェリルは面食らう。
「実を云うとさ、あのゴタゴタよりシェリルの方に興味あってさ!ちょっと揺らしたらどうなるかなって思ってね。」
「私を…試した?」
「みたいな感じ!元々あなたって前評判悪かったから、あなたがどういう人間か見たかったんだ。」
ヲリエは押し潰さんばかりに力を入れた両腕を放して、改めてシェリルの顔を見た。
「今回の一件はあなたにとって何か大きな事を教えてくれたみたい。だったら、良かった。皆があなたを知る事に意味が生まれる。」
「意味、ですか?」
シェリルが首を傾げる。
「大層なモノじゃないよ。ただあなたが今回の事で、自分にはたくさんの人の想いが宿っていると知った。」
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