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「あたっ。」
素早く伸ばされた人差し指がシオの額を弾いた。不意打ちに、シオはただ両目を瞑る事しか出来ない。
怪訝な顔をしたシオはすぐに萎縮する。柔らかい笑みを浮かべるヲリエから怒気が立ち上っているのを感じたからだ。
「さぁーてキミは反省。」
「は、はいっ…。」
「心意気は買うわ。カッコいい事この上ない!でもシェリルと同じ、キミも色んな人に想われている。誰かを助けたい想いがあるからって自分を蔑ろにしたらダメ、わかる?」
「っ…。」
シオは俯いた。
「キミは何も考えてないだろうけど、キミが傷付く事で他の人が傷付いているって知ってた?体に受ける痛みと違って心の痛みは勝手に伝わってしまうの。」
それはシェリルを放っておけなかった自分が感じていた想いと同じなのだろうか。そうだとしたら、自分勝手に後味の悪い感情を広げていた事になる。
「自分に対して持つ責任が、一番重いんだよ?」
言葉が肩を撫で、落としていった。シオはシュンと萎む。
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