25.手合わせ

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毅然とした声調で一人の女が答える。 キチンと切り揃えられ、丁寧に櫛でとかされたワイン色の髪は品のある光沢を放っている。切れ長の瞳はワインレッドに光り、整った目鼻立ちや形良い座り方からは凛とした空気を醸し出していた。 「最初の奴は仕方無い、だが二人目と三人目は何なんだ?怠慢は正さねばならないな。」 女、ルキア・オールバーンは長い睫毛を小さく震わせ、唇を開く。 「二人目の彼は仕方無いでしょう。元より無理にこの席に座らされている者、気概なんてタカが知れましょう?」 「三人目はアンタのヘマでしょう?守り役さん?」 陰険な言葉を投げ掛けられ、ルキアは少しだけ眉間に皺を作る。 「その呼び方は止めて下さる…?私はあの男の監査役、守り役なんてモノじゃない。」 「まぁたぁ!男一人好きに侍らせられるんだったら好きにやりゃいいんじゃないの?」 「下劣な発想は止めて下さる?レオノーラ。」 ルキアと火花を散らすレオノーラ・ファンデンは露骨に不快そうな顔になる。 制服は着ず、ビキニのブラとショートパンツの上から毛皮のローブを羽織っている。大胆な趣味と校則破りはルキアと正反対だ。 アップスタイルで束ねた栗色の髪を揺らし、レオノーラは梟のように大きく力んだ瞳でルキアの顔を覗き込む。 「カマトトぶってじゃないわよ、ルキア。一人か二人男尻の下にしいたらどう?アンタのデカいケツの下にさ。」 「やめろレオノーラ。」 見かねたリカルドが仲裁に入る。
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