25.手合わせ

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「フワア…。」 青年は部屋の構造には一瞥しただけでそれを以上興味を持たず、眠気を振り払おうと頭を描き続ける。 「ちょっと…。」 見かねたメイデンが肩を叩いて窘める。青年は申し訳無さそうに、無垢な笑顔を浮かべると頭を掻いてた左手を払ってポケットに突っ込んだ。 「月虎はリカルドの黛の隣に。」 レイルが指し示すと、月虎、久住月虎(げっこ)はスタスタと席に着いた。大きく椅子を揺らす乱暴な座り方に隣の黛は不機嫌な視線をぶつける。それに気付いた月虎はヘラヘラと笑って頭を小刻みに下げた。 「来れる面子はこれで全員かい?」 「嘆かわしい事にな。」 特別な仕様の椅子に腰掛けたレイルにリカルドは溜め息混じりで話す。 「みんな色々あるさ。…では報告会を始める。」 レイルが机上で腕を組んで告げた瞬間、場の空気は全く別の様相を見せる。 「今週は平穏無事とはいかなかった。シェリル・ハウルロイドを巡って一悶着あったみたいだからね。」 リカルドがレイルの発言の終わりと同時に立ち上がる。
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