26.アンダードックズ・ビュー

4/25
前へ
/913ページ
次へ
リクとは一応和解はした。 気にしなくてもいい、リクはリクのやるべき事を果たした。 浮ついた台詞だが、あの時云えた精一杯の励ましだ。リクには要らぬお節介かもしれないが、声を掛けなきゃやっていられなかった。 それだけリクの背中が痛ましかった。 が、居たたまれなさに押し出された言葉にどれだけの重みがあっただろうか。シオは日々の中で心残りを積もらせるばかりだった。 一方のリクは奇妙な憂鬱にさいなやまれていた。シオやシェリルに対する気まずさと慰めを与えられた恥ずかしさ。この二つが絶妙な形で折り重なり、リクの中で渦巻く。苦悩なんて目敏い姿で現れず、半端な濃さの靄になってリクの頭にかかっていた。 こんな状態、アレンに云えばまたとやかくつつかれるだろう。そんな目に合うのは面白く無いし、アレンが正論を用いるのは目に見えている。 何より自分の情けなさを一番理解していたのは自分だった。 (バッカみてぇ…。) 苛立ちを含んだ舌打ちを自分にかました後、リクは組んだ両腕に顔を埋めた。
/913ページ

最初のコメントを投稿しよう!

863人が本棚に入れています
本棚に追加