5.イン・フィーリングス

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シオの云った日程通り、一年生は荷物を預け、第二アリーナに集まった。 アリーナはプラントの外観からはイメージしようが無いほどよく出来ていた。 数千の人間は収容できる客席が密集して中央のコートを囲み、オーロラビジョンやら何やらが設置されている。 コートには一年生全員がクラス別に並んでいる。入学式の際の光景とほとんど同じだが今のシオには不安より「腹の底から湧き上がる力」が勝っていた。 しばらく一年生の群は騒がしかったが正面の簡易な演説台に一人の青年が立つと静かになった。 緑がかった茶髪にスラリとした長身の青年は銀縁の眼鏡をかけている。その奥の切れ長な目には金色の瞳が浮かんでいた。 青年は一度一年生を見渡し、スタンドの上にあるマイクに右手をかけた。手には黒い手袋をはめている。 「今回のオリエンテーションを取り仕切っているリカルド・ベイ・エメルソンだ。」 低く渋みがあるテノールボイスだった。
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