26.アンダードックズ・ビュー

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「大した…事じゃないよ、うん。」 シオは曖昧に濁して席を立った。皿の上のチキンカレーは中途半端に残っている。冷めてはいたが、熱は僅かに帯びていた。 「あー…。」 言いかけて、アレンは止めた。耳を引っ張られ続け、本格的に悲鳴を上げ始めたシャーロックに気付くまで、アレンは止まっていた。 シオは鬱々とした心を澄まそうと努める。リクが持っている靄のようなモノがシオを彼から遠ざけていた。 それでも、リクが悶々と、何かに囚われているのは感じていた。 「最近のキミをグダグダ悩ませる物事ってあったかね?」 空気を壊すシャーロックを追い払い、中庭の二つのベンチでアレンはシオと向かい合う。顔を少し伏せているシオに対し、アレンは面倒くさそうにストローでヨーグルトシェイクを啜る。 「シーオー…せっかくシャーロック追い払ったんだからさ、此処はキッチリ話してみようか。」 「…リクとさ…最近、気まずくて…。」 ヨーグルトシェイクを啜る音が途切れる。 「シェリルの次はリク?対人関係ばっかねーキミは。」 「様子がおかしくないか?リク。」 「何か失敗するとアイツは意味無く沈み込むからさぁ。昔からの習性だかんね。」 再びヨーグルトシェイクを啜る音が鳴る。
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