26.アンダードックズ・ビュー

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「でもそんな個人のポリシーなんて最後まで貫き通すのは難しい。例えどんなに立派でもね。此処では…リクは魔法に関してはズブの素人、プラス素手での殴り合いでも強者が揃っている。地元で強くったって此処で弱けりゃ何の意味も無い。」 「リクは弱くなんか無い。」 「平均以上の力はあると思うよ、オレも。でも足りないんだ。フィジカルな面でもセンス的な面でも。アイツの力の使い方はどこか空回って、相手に真っ直ぐ届かない。…中途半端なのさ。嫌いじゃないけどさ。」 アレンがフォローを入れる。 「アイツ自身一番自分のそんなとこをわかってて、悩んでて…。あの図体に似合わないくらいナヨナヨ後ろ見ててさぁ。もうイライラするよ、マジで。」 笑っているがシニカルなニュアンスは無い。 「でも放って置けないんだよね。アイツは基本良い奴だし、長い付き合いだし。ただね、本能で人助けしちゃうお人好しならさ~…自分も助けられるくらいの人だって事、知っててくれないとさ。」 「俺も…リクを助けたい。」 「シオ助けると嫌味じゃん?」 アレンはカラカラ笑う。 「そんなんじゃ…!」 「わかってるよ、わかってる。」 アレンの喉笛は小刻みに鳴り続ける。
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