26.アンダードックズ・ビュー

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「あぁー…何だよ…!」 ふと突出部の上から欠伸混じりの苦情が降ってきた。 「っ?!」 リクは思わず身構える。自分以外に誰かがいたなど全く把握していなかった。 「昼間っからよ~ガチャガチャうっせーんだよ…ったく。」 不機嫌そうにぼやきながら突出部から青年が一人、顔を出す。本調子なら鋭い眼光を見せるであろう両目が、眠気でだらしなく垂れている。 「あ…すんません。」 一先ず謝罪すると、青年はマジマジとリクの全身を見つめた。 「何してんの…?闇討ちか?討ち入りか?仇討ちか?」 「何で全部時代劇…。」 「ポン刀持ってんだもんに。時代劇じゃなけりゃヤーさんか?」 「普通の学生ッス。」 話が逸れる前に釘を打つ。 「…うっさかったっすか?スイマセン。」 「んー…まぁ…ボチボチな。」 首を何度か回し、目を擦りながら青年は降りてきた。目の前で立つとリクより背が高い。細身だが肩幅は広い。理想的な逆三角形の体格だ。 プリンになっている雑な染め方の金髪とピアスが醸し出す雰囲気はどこか懐かしい。 (地元にいそうだな…。) 率直に、リクはそう思った。
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