26.アンダードックズ・ビュー

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「お前地元同じか?」 「え、えぇ…多分。」 唐突な問いの返しに、青年は満面の笑みを浮かべる。 「ンだよー!後輩にもいたのかよー!よっしゃよっしゃ!」 いきなりテンションを持ち上げた青年はリクの肩を力強く叩く。リクは痛みで顔をしかめながら、愛想笑いで返していた。 「俺ぁ久住月虎!くずみげっこだ!よろしくなぁ!」 「はぁ…月白リク、です…。」 「はっはぁ!月って字ぃ被ってんじゃん!益々気に入ったぜ!」 一方的にまくし立てる人だ、リクはそう感じながらも徐々に素の笑みを綻ばせていた。豪快で単純で快活。昔よくいた人気者のガキ大将そのままだ。 「んで…お前は何してんのさ?修行的なのしてさ。」 「実技試験が近いんで…。自主練、ッス。」 「へ?実技試験?…マジでか。」 「三年生は違うと思いますよ、多分…。」 「ンだよー!ホッとした…。」 大袈裟な身振りを交えて月虎は胸を撫で下ろす。 「でも真面目だよなー!テスト近ぇからって自主練なんてようやんなー。」
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