26.アンダードックズ・ビュー

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「そう、ッスか…。」 リクは嘆息しつつ、顔を伏せた。その素振りにすぐ、月虎が注目する。 「スッキリしねー顔してんなぁ。なんか鬱ってんぜ?」 「何でも無いっすよ。」 「バァカお前、ンなツラしといて何も無いワケねーべ?」 リクの前で月虎は胡座を掻いてみせる。 「ほーら、話してみろよ俺が全部受け止めてやらぁ。」 エラく一方的なペースだ。図々しいリーダーシップに引き寄せられ、もうどうしようも無い雰囲気だ。 リクは多少の間で渋ったが、観念して月虎の前でしゃがんだ。 「メチャクチャ私事ッスけど…。」 「かまやしねぇよ!旅は道連れ、世は情けだろ?」 微妙に使い方が違う…と内心でツッコミを入れて、リクは口を開いた。 慎重に、ぎこちなく。心を開き、言葉を取り出す。 濁りが微かに混じった、よく響く低音で想いを奏でる。
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