26.アンダードックズ・ビュー

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「弱い自分をどうにかしたいって事か?」 一頻り話を聴いた後、月虎が発した一文にリクは頷く。 「頭も力も魔法も中途半端で…。勝手な感情だけが先回って、空ぶって…。ンな自分にもうケリ着けたいんです、俺は。」 「不器用だな、お前。まぁでも俺は嫌いじゃねぇよ、気に入ったぜ。」 フォローを入れる月虎の笑顔は温かかったが、リクは素直に感じ入れない。 「ただのバカッスよ…。んで、詰まんないエゴイストだ…。」 「でもお前はよく考えてんじゃん、自分の事。」 月虎が空を仰いで伸びをした。 「考えてるっつーか…向き合ってるか?自分の弱さを真っ正面から見れる奴はそういねぇ。」 「実らない、不毛なやり取りッス。」 「此処にゃンな事すら出来ないヤツもいんだぜ?ダチのハナシだけどよ。」 自信に満ちた口振りにリクは自然に頭が下がる。佇まいから口振りまで。本当の意味で、この人はどこまでも上級生なんだろう。 「力も家も満ち足りてる連中はさ、何時の間にか今のテメェに納得して、どこが弱ぇのか強ぇかを忘れちまうのさ。そっちの方がよっぽどしょっぺぇ。」
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