26.アンダードックズ・ビュー

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「空っぽの頭で生きてても、何も得られやしねぇ。どんな力が手にあっても、家がデカくても何も残りゃしねぇ。ただ時間の流れに流されて、トホーも無い人生を面白れぇ事を何一つ掴めずに終わる。つまんねーじゃん?ほろ苦くてもいいからよ、俺はテメェと真っ正面からぶつかれる生き方がいいのさ。」 「でも何も得られなかったら、何の意味も無いッス。」 「バーカ、あめぇよ。今悩んでる事で答えが出たからって一生ハッピーなワケ無いんだぜ?ちょっとずつ解消してくんだよ。」 リクは両膝の上で拳を固める。また悔しさが疼き出す。 「俺は今すぐ強くなりたいッス。」 月虎は動かそうとした唇を留めた。リクの眼差しが磨かれた光沢を見せる。 「魔法も、刀も、頭も、根性も。全部全部、強くなりてぇ。」 「クッ…ハハハハハハハハッ!!」 月虎が笑い出した。大口開けて、大きく胸を張って。リクのモヤモヤと立ち込める不安を笑い飛ばさんばかりに、笑い声は放たれた。 「ガハハハハハ…!欲張りだなぁお前!馬鹿みたいに強くなりてぇってよぉ!」 予想しないリアクションに、リクは拍子抜けする。 「いいぜ…いいぜ!現実的に物事見て、チマチマ強くなるよか、初っ端から全部とっつかまえる勢いがねぇとなぁ!男はみんなそうあるべきだよなぁ!」 「だが現実的に物事を見る力量を求めているんだがな、俺は。」 冷めた感触の声が、忍びやかに二人の間に入った。
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