26.アンダードックズ・ビュー

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「ッルアアッ!!」 剛毅な掛け声と共に、下された裏拳と力強い踏み込みが火柱が突然収縮して掻き消された。中段の構えを取った月虎の姿が減衰する火の間から現れる。 「拳圧と踏み込みで火を消した…?!」 超人的な離れ業を目の当たりにしてリクは絶句する。月虎の体が、一回りも二回りも大きく厳めしく現れたような錯覚を受けた。月虎は得意げに微笑んではいるが、鮮烈な戦闘意志にブレは全く無かった。 「あぃっ…かわらず容赦ねぇなぁっ!」 そう云いながら月虎は熱で赤くなった皮膚に息を吹きかけて冷やした。 「唐変木がよく云う。」 リカルドはシニカルに笑って首を傾げた。月虎は高笑いしながらクラウチングスタートの構えを取る。小規模とは云え、爆炎を見に浴びて平然としている時点で、リクは頭の中の歯車がガチャガチャと崩れる感覚を覚えた。 「それだけが取り得だから…よっ!」 月虎の接近は早い。 リカルドは身を退くと同時に、岩の杭を作り出す。 「ロックエッジ。」 足止めとして召還したが月虎の前では小石に等しい。腕の一振りで砕け散った。 「おらぁっ!」 月虎はリカルドの顔面目掛けて重く速く拳を繰り出した。
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