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リカルドは迫る拳を認識すると上体を反らし、右手を月虎の胸に付けた。
「ホワイトアウト。」
「うわたたたっ!」
危機を察して月虎は離れるが、胸部と左腕部が瞬時に凍り付く。
「げげっ、やっべぇ!」
体を束縛する氷塊を、月虎は拳を打ち込んで粉砕する。
しかし、月虎の意識が氷塊から離れた瞬間に、両脇から発生した岩の手が月虎の右腕を掴み、ねじ上げた。
「うおっ!ってか痛ぇ!」
「ゴーレムクランチ…。もういいだろう。」
「おまっ、最弱とか云っといて勝つ気満々じゃねぇか!!」
「たかだか生け捕りだ。一先ずこれで終い…」
「…ってぇ思うよなぁぁ?」
月虎が上体を動かした瞬間、
ゴーレムクランチはねじ切られた。
「「ハァ?」」
冷徹に、間髪入れず攻め立てるリカルドが初めて、立ち尽くした。
「油断してっとぉぉぉ!」
月虎は千切れた岩の手を鎚のように振り回しながら突進し、
「つっぶれるぞぉぉ!」
リカルドに叩き付けた。
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