26.アンダードックズ・ビュー

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「ハアッ…?」 再びリクは驚愕に言葉を奪われる。だが今度ばかりは理屈もへったくれも無い。魔法を学ぶ場所で魔法が使えない人間がいる意味が判らない。本末転倒だ。 「ンな、バカなハナシ…。」 「いいや、大マジだぜ?なぁ!」 「自慢出来る事じゃないぞ。」 月虎のフリにリカルドは真っ当なツッコミで返す。いや、何でツッコミだけで済んでいるんだ? 「いや、おかしいだろ?!魔法使えなくてなんで此処に入れるんだ?!」 リクは死に物狂いで魔法を身に付けた身だ。 「入学に相当する理由があるからだ。お前も見ただろう?」 リカルドに促され、記憶を巻き戻すと、リクはつい納得してしまう。 あの異質な現象の数々が魔法に由来しない、身一つの力で引き起こされたモノだとすれば。それはもう天賦の才を越えている。最早異形としか云えぬ程の異能。ある意味で極みだ。 そんな力を有している時点で、彼の存在における魔法の意義は薄まる。少なくとも力と云うカテゴリーの中では、彼には魔法など必要なくなるだろう。 「まぁまぁ!あんま誉めてくれんなよ~♪」 「噤んでろ。」 月虎のおどけに一切感情を動かさず、リカルドはそのまま立ち去った。 月虎はやれやれと頭を振った後、リクに笑いかける。
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