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「お前は誰の為に戦いたい?」
投げかけられた問いは、自虐的な悲嘆に囚われたリクの意識を起こした。
「俺は…友達とか、仲間とか、それだけじゃなくて、放って置けない人皆の為に戦いたい!エゴでも何でも云われてもいい!俺の心が無視出来ねぇ奴の為に…戦いたい!」
殆ど一息で放たれた、渾身の想い。
「んじゃあ!ソイツを死んでも放すな!」
月虎がリクの胸倉を掴む。
「テメェん中に通した筋はぜってぇ曲げんな!死に物狂いでソイツを果たせ!それを肝に刻んでおきゃあ…勝手に強くなるぜ?」
「それ、だけで…?」
「あぁ、それだけだ!」
月虎は踵を返す。
「強さに定位置なんざねぇ、昇るか落ちるかだ。でも肝据えておきゃあな、後はぶっ通しゃあいい!体は勝手に付いてくんだからよ。」
「信じるままにぶっ放せ!」
リクは、喪失感を錯覚してしまうくらい心の中を気持ち良く吹き飛ばされた気分だった。それは拳とか、ハンマーとか、そんなモノで出来る衝撃じゃない。突風が直接貫通したかのような、直情的な一撃だった。
リクは立ち尽くした。
全身が、小刻みに震え、紅潮している事に気付くのはずっと後だった。
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