27.トゥー・ビー・フリー

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実技試験に向けた合宿が始まり、シオ達はチュートリアルハウスに移って日夜鍛錬に励む事となる。テスト本番まで三日、決められたチームに分かれて、彼らは鍛錬を始めた。実技試験で使われるワイルドキューブは試験当日までその内部構造、トラップの種類は極秘なのでワイルドキューブに特化した訓練は出来ず、シオ達は幾度も経験した退屈な組み手に徹する他無かった。 第五道場にて。 「フッ!」 汗の滴を飛ばし、シオはアクロバティックに跳ぶ。宙で後転するシオの頭部スレスレを、刀の切っ先が掠める。 着地したシオは素早い切り返しで杖を突き出す。リクは鳳嘴で払い、体を押し込めて取り押さえようとする。体格差を生かす気だ。 伸びてきた右腕に反応して、シオは屈んで、逆に足下に潜り込む。 「うおっ!」 対応が遅れたリクにシオは杖の石突きで顎を突き上げた。 「っぐっ……!」 衝撃で顎と脳を震わされ、意識は瞬時に混濁する。指令が途絶えた両足は意識が抜けたようにフラつき、リクは倒れ込んだ。 「あー…つぅ…!」 早く起き上がったリクだが、頭は重く揺らいでいる。
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