27.トゥー・ビー・フリー

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「くっそぉ~…。」 リクは思いっ切り伸びをした。 「強くなりてぇ…。」 天井は、見透かせない。変わらぬ絶対的な距離を保ったまま、冷然とリクを見下ろす。 ふと、目の前にミネラルウォーターのペットボトルが差し出される。リクがその持ち主を確認する前に、ペットボトルが逆さまになった。 「うわっぷ!」 顔面に満面に水を浴びて、慌ててリクは上体を起こす。 「ペッ!…アレン…テメェ…!」 「ニハハ♪」 犯人、アレンは無邪気に舌を出す。同じように鍛錬をしていた癖に汗一つかいていない。ブレザーを脱いでシャツをはだけさせている。 「いやぁ、オーバーヒートしていたと思ってさぁ!」 「だからって…お前ぇ!」 飛びかかるリクをアレンはヒラリとかわし、サッサと逃げ出す。リクの獣めいた騒々しい足取りに対し、アレンは軽やかだ。 「コラァ!待てってぇ!」 「ケッケッケ~♪」 「あ…。」 他愛の無いやり取りを見て、ラウルはふと気付く。リクの顔から憂いが無くなっていた。曇っていた表情が、晴れ晴れと緩んでいた。 それは、いつものリクだった。
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