27.トゥー・ビー・フリー

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「吼えたてろぉ、バスク!」 快活な一声と共に巨大な魔犬が現出する。ビロードのような艶やかです滑らかなダークブラウンの毛皮、その下で生き生きとした筋肉の鼓動が蠢く。パックリと割れた、巨大な吻部からは涎で濡れた鋭利な牙が見え隠れする。歯茎は赤黒く膨らんでいた。 瞳は赤い。色濃い血を水晶に落としたように。闘志と凶暴性が疼いている。 バスクは低く唸った後、高々と咆哮する。道場内に野太い振動が響き渡る。 「いよっしゃああぁぁ!!召還成功ぉぉぉ!」 バスクの肩をバンバン叩きながら、シャーロックがはしゃぎ回る。 「どーよ、どんなもんよ!」 「上出来ね!惚れ直しちゃうわ、シャーロック。」 「イヤッフゥゥゥ!!」 エリスに誉められてシャーロックの気持ちはすぐさま有頂天に駆け上る。 「スゴいよねぇーシャーロック。」 出して見せた召還体に、シャーロックのはしゃぎように、アレンは足を止めて呟く。 「突貫で召還体精製しても案外上手く行くしねぇ…。リクも覚えてるだろ?」 「昔の話だよ。」 リクの視線も並行する。 「シャーロックみたいに大きな召還体作れるのもスゴいけど、リクのスクァッシュも簡単に出来るモンじゃないさ。あんな悪ガキ早々作れやしない。」「たまたまだっての。」 リクは小さく笑った。 シェリルとシオの組み手はまだ続いている。 いつまでも、鮮やかなまま。
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