27.トゥー・ビー・フリー

15/18
前へ
/913ページ
次へ
「実際、今お前楽しいだろ?独りじゃない生き方は独りよりずっとたくさん得るモノがあるし。」 「うん…」 シオは遠慮がちに瞳を上げる。意志が汲めずにリクは首を傾げた。 「俺は、ダンジョンプレイでそれに気付いた。独りじゃどうにも出来ない状況も、仲間と連携すれば逆転出来る。それだけの可能性と力が在るんだって実感した。教えてくれたのはリクだ。」 瞳を合わせて云われて、リクは少し照れる素振りを見せた。 「でも、今のリクは独りだ。」 「……!」 「誰かを守りたいって云っているのに、リクはいつも独りで戦っている。」 言葉を重ねる毎にシオは澄む。鋭い輝きがリクを射し貫く。 「俺の力が弱いのは俺の責任だから…。」 「リクの弱さはリクのモノだ、だけどリクという存在は色んな人と繋がっている。リクがそうやって苦しみの中で自分を閉ざしているのは、悲しい事だ。俺達との繋がりを断たれたみたいで…。」 リクは押し黙り、ジッとシオを見返した。 「リクが仲間の為に戦えるから、俺も戦える。だからリクも俺達と向き合ってくれ。一緒に、強くなろう。」 暗がりに斜陽が落ちてきたように、リクの心はシオの想いに照らされる。こんがらがった解れはもう消え失せていた。解けたワケでもないのに、勝手に立ち消えた。
/913ページ

最初のコメントを投稿しよう!

863人が本棚に入れています
本棚に追加