27.トゥー・ビー・フリー

16/18
前へ
/913ページ
次へ
「…実践しよう!」 「…あ、あぁ?」 リクは語る事を忘れていた。 「スクァッシュの時みたいにさ、手合わせしよう!」 シオはそそくさと立ち上がり、同等のスピードでその場を立ち去った。日頃のシオが見せない、せっかちで落ち着きの無い一面だったが、リクの目には違和感なく、自然に見えた。 リクが呼び止める間も無く、シオは室内の薄暗がりに消えた。 数分後、待てどシオは現れない。リクはもう立ち上がってスタンバイしていた。もう何度も鳳嘴の鞘で小刻みに地面をつついている。 ふと、気配を察し、小突きをやめた瞬間、前方からチャージインパクトが飛来して来た。 「おうっ?!」 声を裏返してリクは鳳嘴で受け止める。 「な、なんだよ?!」 「あ、ゴメン…不意打ちの方が気構えが無くていいと思って…。」 妙なロジックの言い訳を唱えながらシオが現れた。先程のテンポ良さとは裏腹の、少しばかりの後悔を噛み締めている顔をしている。 「何だよそれ…。」 リクは呆然としながら…微笑んだ。
/913ページ

最初のコメントを投稿しよう!

863人が本棚に入れています
本棚に追加