28.ランダムナイトメア

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「悪かった!!」 威勢良い謝罪をかまされ、シェリルとラウル、そしてシオは面食らう。 「リ、リク?!どうしだんだ?!」 「勝手に悄げて、半端な努力して皆の足引っ張ったから!」 「リク…。」 深々と頭を下げる姿勢は潔い。しかしそれまでのリクにあった、糸くずのように絡まり合った憂鬱はリクから消え失せていた。 「いいよ、リク。」 シェリルはリクの肩に手をあて、上体を起こすように促した。 「私だって…気持ちが上下しちゃうし、前はみんなを巻き込んだしね…。」 「でも、だからこそ皆で支え合うんだよ。」 自嘲気味に笑うシェリルにラウルが暖かく言葉を差し入れる。 「リクも、次はそうして欲しいな。」 「うん。私達はリクが悩み苦しんでいる所が心配だし…私達もそうなった時はリクに助けてもらうと思うから。」 シェリルとラウルの笑顔は極々自然的だ。えくぼが優しげに刻まれている。目の当たりにして、リクは胸から熱が湧き上がる感覚を覚えたが慌てて取り消して、無言で頭を下げた。 「ベスト…尽くすから。」 「俺達も、だよ。」 次はシオが、肩を抱いた。リクは微笑んで、喜びで目を細めた。 「じゃあ、行こうか。もう皆集まっているよ。」 ラウルの一声に頷き、四人は歩き出した。バラバラのテンポの歩調は不思議なくらい巧みに重なっていた。
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