28.ランダムナイトメア

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「積もる話は後日でよろしいかしら?」 体の良い所でフレンシェルが話を切った。エリス達は頷き、「幸運を!」とだけ残してその場を立ち去った。 シオ達は改めて緊張を高め、新たに訪れようとしている局面に備える。 「それでは各自好きなドアから入って。どのドアから入っても難易度は変わらないわ。」 軽い相談の結果、シオは南、リクは東、シェリルは北、ラウルは西に決まった。それぞれドアの前に立つ。 装飾、ドアノブ、隙間すらない素っ気ない造りだ。ただ輪郭だけがこれをドアだと指し示している。ワイルドキューブと同じ平坦な色合いはこの先の状況を一層不明瞭なモノにしていた。 四人がそれぞれ選んだドアの前に立ったのをしかと見届け、フレンシェルは高々と左手を挙げた。 「それでは、第七組、試験開始!」 音も無くドアが横にスライドし、煌びやかな深い闇が大口を開けた。冷たくも温かい、不気味な空気が流れ出る。 四人は示し合わさずとも、一揃いに意志を決した。採点とか成績に縛られない、パーフェクトな過程を構築しようという気概に満ち溢れていた。 どこまで呼吸を、鼓動を、行動を重ねられるか。 全ては未知だ。 だが挑み、打ち勝つ勝算は充分に打ち出した。緻密とまではいかないが、充分精密な計算は施した。 達成は己が手で果たすのみ。
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