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四分六だ。
シオはすぐさま悟った。カークスの加減とシオの持ち得ているカークスの情報がハンデになってもカークスと直接勝負して勝つのは厳しい。
だが、それが試験である以上退けない。決した意を更に研ぎ澄ませて、シオは杖を構えた。
カークスは意外そうに目を丸くする。
「二、三云う事があるかと思えば…適応が早いな。」
「時間が無いから…さ。」
「確かにな。」
カークスはバルディッシュを軽く振った。途端に、その軌道に沿って砂塵が舞う。
「いきなり?!」
「サイドワインダー。」
蛇のように、しなやかに蠢く砂塵の鞭がシオの回避と同時に飛びかかる。
左足に微かな接触を感じながら、シオは床に転がり込んだ。
「っつう…!」
受け身を取った為着地のダメージは軽減されたが、それよりも左足の焼けるような痛みが大きかった。無数の砂粒が高速で皮膚を摩擦する。この痛みは小さくとも長引く陰湿さを持ち合わせている。
カークスはシオの安否を一切無視して次の手に移る。砂流が渦を巻き、カークスの前で三本の槍を形成した。
「サンディクローズ。」
変則的なサイドワインダーと違い、直線的な攻撃が襲う。
「んっ、レイディアントエアー!」
青い大気の壁がサンディクローズを押し留める。だが型くずれし始める土塊の奥から、バルディッシュが突っ込んで来た。
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