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「そんな事無い!俺達は…」
「『仲間だ!離れ離れでもへっちゃらだ!』歯が浮きそうな台詞だな。…ゴーレムクランチ。」
バルディッシュの石突きが床を叩くと同時に岩の腕がシオを取り囲む。
「ザ・リンチ!」
岩の腕がシオの頭上から一斉に覆い被さった。呻きも悲鳴も無く、小柄なシオの体は覆われる。
「…直面している戦いはそいつ自身のモノだ。背中に何が控えていようが、どう考えていようが、その事実は厳粛にのし掛かる。アイツらも覚悟は決めている筈だ、ならアイツらが単独で戦いを終わらせるのを願うだけにしておきな。気負い過ぎは頭を鈍らせるぜ?」
「気負い…過ぎぃ…?!」
苦々しい呻き声を交えた返答が折り重なる岩の腕の真下から響く。シオは交差する岩の腕を絶妙にかわし、そして杖を突っ返させて支えてみせたのだ。シオの体に巨岩の重量が積もる。
「勝手な、妄想だよ、それ…!いや、心配?らしくないね。」
「ボトムレスヘル。」
言葉では無く術でカークスは応えた。床が漏斗状に凹み、流砂が渦巻いて足場を乱し始める。
「うわっ!」
バランスを崩し、転倒したシオは流砂と化していくゴーレムクランチに飲まれてしまう。
「フロウアジャ!」
シオは自らに気流を纏わせ、周囲の魔力を中和させつつ流砂を払う。杖を突き立て体を持ち上げ、不安定ながらも足場を構築した。
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