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「…カークス、先生は一つ勘違いをしている。」
「ん?」
新しい煙草に火を点けようとする手を止めて、カークスはシオを見下ろす。
「俺達は馴れ合いとか情とかを傘に集まってなんかいない。互いに隔離された状況で協調し、連動する手段が、今一番最適だから狙っている。」
「最適が最短とは限らない。」
「なら最速で掴み取る。俺達が求めている限り!」
シオは不安定な足場を崩す勢いで跳ねた。丸ごと飲み込もうと唸る蟻地獄を前に、杖の照準をカークスに向ける。
「フローティングトマホーク!」
インパルスレイヴの数倍の大きさを持つ波動がカークス目掛けて放たれる。カークスはやり過ごそうとするが、予期せぬスピードと勢いに圧され、思わずバルディッシュを構えた。
「ランドバリア!」
床がめくれあがり、丁度カークスに被さる形状の盾になるが、それはすぐさま撃ち破られた。カークスは舌打ちして身を反らす。
触れこそしなかったが、間近を過ぎ行く波動から伝わる衝撃が肌に刺さる。
砕け散った土塊を払いな、カークスは舌打ちした。火が点いてない煙草を吐き捨てるとシオをギロリと睨む。
「腐ってもお前なワケだ。やれやれ…。」
「ただの生徒だよ、俺は。ただの…皆の仲間だ。」
シオの双眸は瞬く。
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