863人が本棚に入れています
本棚に追加
光のシャワーはけたたましい爆音を立ててぶつかる。クリアシェルがグラグラと揺れ、鈍く波立った。明らかに強度が足りない。
「…やっべぇ。」
鳳嘴を握り締め、リクは駆け出す姿勢を作る。
そしてクリアシェルが砕かれた瞬間、リクは一気に駆け出す。駆ける駆ける駆ける。デウスエクスマキナ2の姿を目視する余裕は無い。背後の無数の光線の軌道を勘で予測しながら、ひたすら駆ける。
眼前にドアを認識すると、リクは乱暴に開けて雪崩れ込んだ。
「ハアッ!ハアッ…!クソッ、アイツ何なんだよ…!」
汗で濡れた髪を掻いて、悪態をつく。苛立ちを丸出しにするが、ふと思考する。
「何か俺逃げている…?いや、違う!これは戦略的撤退で…!そうだ、こっから逆転だ!」
心なしか虚しく響く強がりにリクは何だか貧しい気分になる。
「しゃあねぇ…有言実行…!」
苦し紛れにいきり立ち、リクはドアの傍に控えた。ドアの奥は静かだ。デウスエクスマキナ2はどう動いているかはわからない。
「見失ってくれたか…?」
奇妙な静けさにリクは少し困惑する。
だが突然背後に気配が立ち現れる。
「っ!」
リクが横に跳ねた瞬間、ドアの辺りに熱線が突き刺さる。着地と同時に爆風に背中を押され、リクは転がる。頭を庇って受け身を取ると状況を確認する。
「何…?!」
デウスエクスマキナ2が其処にいた。先程と寸分違わぬ姿を見せている。
「まだいんのかよ…!」
舌打ちしてリクは構えた。手をこまねく暇は無い。
最初のコメントを投稿しよう!