28.ランダムナイトメア

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「コイツがさっきの攻撃を…?」 合点がいかず、ラウルは困惑する。確かに不気味な存在ではあるが、お世辞にもあんな火力の魔法を放てるとは思えない。 「ひとまず…。」 思索は置いておこう、ラウルはそう判断した。思考はやりすぎると動きを鈍らせる。今は眼前の敵をいかに倒すかだ。 「チャージイン…」 プレートを構え、術を唱えたや否や、ラウルの体は宙を舞った。突き飛ばされた痛みと衝撃が体にぶつかる。 「かはっ…!」 完全に出し抜かれた一撃にラウルは混乱する。どうにか着地してプレートで二、三発チャージインパクトを飛ばす。だが当惑しきった思考では狙いは定まらない。 ラウルはプレートを床に並べて露骨な罠を影法師に印象付けた。軽い牽制だ。 (影との距離は大分ある…でも確かに素手での一撃だった…。) 肩にはまだ鈍い痛みが残存している。確かに硬い掌底が肩を貫かんばかりに撃ち抜いた。遠距離からチャージインパクトを放つのとは別種の感覚だ。 (じゃあ何故…どうやって影は攻撃を当てた?) 思考と当惑が並列して脳を掻き乱す。唐突な波動の出現、物理攻撃の類を通さない形状に加え、謎の一撃。手を拱かざるを得ない事象ばかりだ。 しかし現実そうしている猶予は無い。手を出さねば、またやられるのは必至だ。 ラウルはプレートを並べる。
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