28.ランダムナイトメア

20/24
前へ
/913ページ
次へ
シェリルは順調だった。相手は24サーチライトと同系統の監視系魔法「コメットビット」。簡易的な召還体に術を組み込んで操作するタイプ。コメットビットは敵と認識した相手を殲滅するまで攻撃する。 ノートパソコン程の大きさに卵形の丸みを帯びたフォルム。全身に付けられた斑点はクレーターを思わせる。 必要な情報は、それだけ。それだけでいい。 後は舞うだけ。ステップを踏み、ターンを決め、柔らかく着地する。コメットビットが放つ光弾を回避し、手にするレイピアで一機ずつ確実に叩き落とす。 まだカヴァーアイは使ってない。使うまでも無い。 (ちょっと…楽かも…。) 不敵な余裕が勝手に芽生えてくる。コメットビットはシェリルに取って足止めにもならない。 「デュアルビジョン。」 コメットビットが一斉に見当違いの方向を見る。その隙にシェリルはレイピアを掲げる。 「フラッシュダスト。」 細かな光の欠片が舞い降り、一挙に拡散した。小粒な弾丸に貫かれたコメットビットは一斉に爆発して消え去る。 「……。」 コメットビットが粉塵になり果てる中、シェリルは思索する。これで終わりな筈が無い。カヴァーアイが使える自分を試すのにコメットビットは役不足だ。監察員もそれくらい把握しているだろう。 「まだ終わっていない…。」 シェリルは前方に進んだ。仲間の状況を掴む術も欲しい。ただ敵を倒すだけでは今回の目標は達せない。
/913ページ

最初のコメントを投稿しよう!

863人が本棚に入れています
本棚に追加